ラッパーとして生きていく。
1997年生まれ。南大阪育ち。現在24歳のWILYWNKAがファッションに目覚めたのは、意外にも早く、小学生の頃だった。「地元がレゲエタウンなんですけど、当時はみんなオーバーサイズでした。それこそ友達の兄ちゃんは、太いEVISのジーンズにA BATHING APEのパーカを着て、真っ白いスニーカーを合わせたりして。僕も親の影響でm-floやTERIYAKI BOYZを聴いていたのもあって、A BATHING APEが好きでした。母親に頼み込んでスニーカーを買ってもらって。それが小学校4年生のとき。そういう意味では周りの友達よりストリートファッションを知ったのは早かったかもしれません」。そうして、ファッションの洗礼を受けながら、ヒップホップの世界へ足を踏み入れることになる。
「中1なのでちょうど12年前くらいですかね。当時、堀江のXLARGEにすごく気の良い店長をやっていた人がいて、お前らスケボーしてんの? ヒップホップ聴いてんの? って絡まれて(笑)。でも、そこで音楽やカルチャーのことを色々教わりました。それから、アメ村に一二三屋っていう韻踏合組合のHIDADDYさんがやってるお店があって、街の父ちゃんみたいな人なんですけど、そこに通ううちに、気付いたらお前ラップやれよ!ってリリックノートとペンとジャスト・ブレイズ(ビートメイカー)のインストのCDを渡されて……、それで中2の時にラップを始めました。今も昔も、50CENTとThe DiplomatsとMac Millerは憧れの存在ですね」。
嘘つかないこと。かっこつけること。そして誰よりも自分が一番だと思うこと。
中学校を卒業した頃には、すでにラッパーとして生きていくと心に決めていたというWILYWNKA。2017年にレゲエアーティストのVIGORMANとプロデューサーGeGとで結成したユニット「変態紳士クラブ」でデビュー後、翌年にはソロ活動も開始。ワンマンライブのチケットは即完と、その名は瞬く間に全国へと広まっていった。彼は自身の現在地をこう話す。「嘘つかないこと。かっこつけること。そして誰よりも自分が一番だと思うこと。この3つを貫いてずっと生きてきたし、これからもそれは変わりません。昔に比べてヒップホップがメジャーになったし、自分の表現に対するリアクションや評価も大きくなりました。だから、これからはもっとドープなヒップホップがみんなに受け入れられるようにしていきたい。それこそ小学生からOLのお姉さんまで、みんなが聴いてくれるようになったら最高じゃないですか!」。
WILYWNKAにとってDr. Martensの存在とは。
弱冠24歳ながら、シーンの担い手のひとりとして活動を続けるWILYWNKA。実は、そんな彼の活躍を支える足元にはいつもDr. Martensがあった。「ドクターマーチンのことはもちろん知ってました。イングランドといえばベッカムだし(笑)。音楽的側面でいうと、昔はパンクやロックの印象が強くて無意識に遠ざけていたかもしれません。初めてドクターマーチンを買ったのは6,7年前。8ホールじゃなくて6ホールでした。ちょうど同じタイミングで、映画の『青い春』を観たときに、白のタートルネックのニットにスラックスにローファーを履いてるシーンがあって、それがめちゃくちゃかっこよくて、気づいたらこのローファー型のエイドリアンも買ってました。酔ってブーツでスケボーしてしまって、翌朝傷がついててへこんだのはいい思い出ですね(笑)。でも、それくらいいつも履いてます」。
僕の中でドクターマーチンは白Teeやジーンズと一緒。
「自分の中で、ブーツとかローファーって結構固いイメージがあって、とくにローファーはスーツとか学ランに合わせる印象が強い。でも、ドクターマーチンは街のやんちゃ小僧にも気張らず履いてオシャレしていいよ!って言ってくれてる気がして、だから好きなんです。僕の中でドクターマーチンは白Teeやジーンズと一緒。別に選ぶときに何も考えてないんです。いつもそばにいるやつ。ただただ好きで履いてるだけ。なんなら、こないだLA行ったときも、スニーカーとドクターマーチン一足ずつでいいかなと思ってたけど、気づいたら6ホールとエイドリアンとしっかり2足とも入れてましたから(笑)。確実に僕の足元を支えているシューズの上位トップ3にいますね」。
「ドクターマーチンってボロボロなってもかっこいいんですよね。最近ヴィンテージのものが好きで、腕時計も自分と同い年のものをつけてるんですけど、味のあるものにロマンを感じます。何年、何十年と歩いてきたわけですから。先人がいて、その影響を受けて僕がドクターマーチンのことを好きになって履いているように、僕より若くてドクターマーチンを履いてる子たちが普通に街にはいて。だから、本当は僕なんかが語れるもんじゃないっていうか、いろんなカルチャーの上にドクターマーチンがいるんだなって。最初はロックだったかもしれないですけど、今はヒップホップの僕らでも普通に履いていて、しかも何の違和感もなく、どんなにタフな場所でもくらいついてきてくれる。だからこれから先も末永くよろしくお願いします」。