河村康輔の表現。 河村康輔の表現。
INTERVIEW

“VOICE OF TYO”

VOICE.01 KOSUKE KAWAMURA (COLLAGE ARTIST)
VOICE.01
KOSUKE KAWAMURA
コラージュ アーティスト

河村康輔の表現。

誰でも手にすることができる素材を重ね合わせて異世界を作り出し、ひとつの絵として成立させるコラージュアーティスト・河村康輔。自らのスタイルを“自由・遊び・趣味”と形容する彼のクリエイティビティの源泉はどこにあるのか。そして現在の表現方法に辿り着いた経緯とは。本、音楽、ファッションは元より、彼を形成するDNAの一部にはやっぱりDr. Martensがあった。

シュレッダーを使った手法は偶然の産物だった。

僕が最初にコラージュ作品を見たのは15歳くらいのとき。デッド・ケネディーズのジャケットを手がけていたウィンストン・スミスの作品を見て衝撃を受けました。

「めちゃくちゃかっこいいなって。以降、学生の頃から友達のライブのフライヤーを作ったりしながら、自然とコラージュに興味を持つように。19歳のときに初めてPhotoshopの存在を知ってからはさらにのめり込んでいきましたね」

現在のコラージュ表現誕生前夜とも言える期間、自身の作品を一冊にまとめるときにそれは生まれた。

途中で素材が足りなくなって、だったらゴミを載せようと、たまたま素材をシュレッダーにかけて貼ったんです。そしたら、それを漫画家の大友克洋さんが見て『これ面白いね、表紙にしなよ!』って。まさに偶然の産物でした。

存在しないもの作って、そこに違和感を持たせること。それが僕の表現。

音楽やファッション、その他さまざまなカテゴリーを飄々と横断し、唯一無二の作品へと再構築させていく河村康輔。繊細な手仕事とは裏腹にポップで毒味が溢れる作品の数々はどうやって生まれるのか。

「ベースとなる素材は、誰が見ても分かるような大ネタではなく、誰が作ったか分からないような過去の本やチラシがほとんど。それ以外は使いません。」

僕がコラージュで表現しているのは、世の中にある人の手が加わったものを使って存在しないものを創り、そこに違和感を持たせること。何の素材を使ったかは重要じゃないんです。

Dr. Martensはいつの時代も変わらない“マイ・スタンダード”。

音楽やファッション、その他さまざまなカテゴリーを飄々と横断し、唯一無二の作品へと再構築させていく河村康輔。繊細な手仕事とは裏腹にポップで毒味が溢れる作品の数々はどうやって生まれるのか。

「自分のことをアーティストって言ったことがないんです。自由に遊んで、趣味に囲まれて暮らす。それを維持するために作品を作る」

僕にとっては、遊びがインプットで作品がアウトプット。今でもこのスタンスは変わりません。ずっと地続き。10代、20代のときに遊んでいた感覚の延長ですね。

まさに“遊びが仕事で、仕事が遊び”を体現している河村康輔。続けて、Dr. Martens、Made in Englandについてと聞くと意外な答えが返ってきた。

「Dr. Martensを最初に知ったのは小学5年生のとき。実家の隣が理髪店で、そこで働いていていた理容師が履いていたのが3ホールでした。しかも、まだ小学生の僕に『Dr. Martensは本当に足が疲れない。ソールが医学的に作ってあってすごく良いんだ!』って力説されて(笑)。初めて買ったのは音楽の影響を真正面から受けた高校生。チェリーレッドのスチール入りの8ホールでした。Made in Englandって聞くと、やっぱりモノが良くて紳士的なイメージかな。しかもDr. Martensはストリートもフォーマルもいける。そのイメージは昔から変わりません」

歴史も文化もしっかりあるんだけど、それに甘んじることなくアップデートし続けている。もはや、あるのが当たり前。マーチンって僕にとってはなくてはならない定番アイテムのひとつですね。

PROFILE

河村康輔(Kosuke Kawamura)
コラージュアーティスト

コラージュアーティストとして、様々なアーティストとのコラボレーションや国内海外での個展、グループ展に多数参加。グラフィックデザイナーとして多数のアパレルブランドにグラフィックを提供。書籍の装丁、広告デザイン・アートディレクション、ライブ・イベント等のフライヤーデザイン、DVD・CDのジャケットなど多岐に渡り活動。

Instagram:@kosukekawamura